2019 . 9 . 5

「森林セラピーの楽しみ方」森の香り“フィトンチッド“編

森の香り「フィトンチッド」の不思議な力

森林セラピーの楽しみ方

 

森の香気を浴びる

「森林浴」という言葉が生まれたのはここ最近のことです。
海水浴、日光浴になぞらえて、森の香気成分を浴びる健康法として林野庁が1982年に提唱し広まりました。

いわゆる森林浴効果をもたらす森の香りは「フィトンチッド」と呼ばれ、私たちの体を癒し、安らぎを与え、清々しい気分にしてくれると言われています。「フィトンチッド」は、一歩進んだ森林浴としてBIOTOPIAで人気の「森林セラピー」でも感じることができます。

では、そもそも「フィトンチッド」とは一体何なのでしょうか?

 

「フィトンチッド」とは

「フィトンチッドphytoncide」とは植物が発散する揮発性物質の総称で、主な成分はテルペン類と呼ばれる有機化合物だと言われています。
1930年頃に発見され、「植物(フィトン)に由来することと、その能力―殺す(チッド)こと」を指しています。

「フィトンチッド」は、植物が自分自身を守るために周辺の細菌などの微生物を死滅させる物質です。「植物殺菌素」や「微生物成長阻害物質」と訳されることもあります。
樹木は、虫に食べられるなどして傷つけられると、摂食を阻害させるような苦みなどの成分を発散させます。
さらには食べられる前に微生物や昆虫などを忌避させるような物質を出して自分自身だけでなく、隣の木に警告を与える役割まであることが分かってきました。

そんな植物の武器とも言える「フィトンチッド」ですが、人体にも毒性を発揮するのかというと、そうではありません。
それどころか、人間にとっては有益な「防虫」「抗菌」「脱臭」「消臭」「リフレッシュ」などの効果があるというから驚きです。

 

昔から利用されてきた「フィトンチッド」

フィトンチッド

科学的な根拠を知らなくても、森を利用してきた人々はフィトンチッドの不思議な力を感じていました。

「総ヒバ作りの家を作ると3年間は蚊が入らない」という材木関係者もいます。
これは、ヒバが発散する成分に防虫効果があることを示す証言です。ヒノキ風呂やヒノキ作りの家など、ヒノキの匂いは多くの日本人に好まれますが、ヒバやヒノキの心材はこうした防虫、抗かび抗菌作用があることから、住宅建材として昔から使われてきたのです。

また、タンスに入れて使われる防虫剤の「樟脳(しょうのう)」はクスノキの葉や枝などの材片を水蒸気蒸留して作られます。
樟脳は医薬分野では「カンフル」と呼ばれ、かつては強心剤として使われていました。消炎作用、清涼感を与える作用などもあり、今でも外用医薬品の成分として使われています。

 

一歩進んだ森林浴 「森林セラピー」とは

このような人間にとって有益な成分であるフィトンチッドを身近に感じられるのが、今注目の「森林セラピー」です。

「森林セラピー」は、科学的な証拠に裏付けされた「森林浴」のことです。
森林の癒し効果などを健康維持・増進などに活かしていくという新たな取り組みで、林野庁・各研究機関や大学・企業などが研究を進めています。

「森林セラピー」では、「森林セラピーガイド」と呼ばれるセラピストと一緒に森に入る点が、単なる「森林浴」と大きく異なります。
セラピストは森林環境の科学的知識や、癒し効果についての生理学的知識をもとに、利用者が安全に森の中を散策し、効果的に森林浴を行えるように助言します。森を熟知したセラピストは、見逃してしまいそうな森の声に耳を傾けるようなきっかけを作ってくれます。また、時には離れて利用者を見守り、森と対話する時間を確保してくれます。
都会の喧騒から離れて森の中を歩くことや、美しい森の景色を楽しみながら、清浄な空気を吸い込み、歩いて適度な汗を流すことが、体に悪いと思う人はいないでしょう。

これまで経験的に知られていた「森林浴」の「癒し」効果は、「フィトンチッド」の発見に始まり、科学的な肉付けを経てセラピストによる療法である「森林セラピー」として確立し、より説得力を持つものになりました。サイエンスとなった「森林浴」「森林セラピー」は「FOREST BATHING」として欧米でも注目されています。

 

体験しよう 「森の癒し」

現代の私たちは、デジタル機器をはじめ、さまざまな人工物に囲まれ、時間に追われるようにして生活しています。
あなたは、最後に土の上で裸足になったのがいつだったか思い出せますか?

森林セラピーでは、人間に備わっている五感「見る」「聴く」「嗅ぐ」「触る」「味わう」を研ぎ澄まし、木々の息吹や風のざわめきに包まれる体験をします。
人類が二足歩行をするようになったのは700万年前。近年発見された最古の靴とされるものは、たった5500年くらい前のものです。
人類は圧倒的に長い間、裸足で歩き、自然の中で生活していたのです。まさに「不自然な」生活を送る現代人にとって、森林の中に身を置くことは、心の底からリラックスできる「癒し」体験です。

森の癒し

現在、全国には64の「森林セラピーロード」があります。これは、生理・心理実験によって森林セラピーに適した道として認定された道です。ビオトピア敷地内の遊歩道「BIOTOPIA“THE WAY”(森のみち)」は2018年に、全国で63番目の森林セラピーロードとして、NPO法人森林セラピーソサイエティから認定されました。  
あなたもビオトピアでココロとカラダも癒される「森林セラピー」でフィトンチッドの持つチカラを体験してみませんか?

※ 「森林セラピー」、「森林セラピスト」および「森林セラピーロード」は、特定非営利活動法人森林セラピーソサエティの登録商標です。

 

BIOTOPIA 森林セラピー

BIOTOPIA 森林セラピー

森と五感をシンクロさせ、リラックスする森林セラピー

美しいBIOTOPIA台地の森を、森林セラピスト・森林セラピーガイドがゆっくりとご案内し、お客さまの五感を開くお手伝いをいたします。
あなたも忙しい日常から暇をみつけて、一歩進んだ森林浴「森林セラピー」で、“森の恩恵”をいただきにきませんか…

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