2020 . 8 . 3

『ビオトピアの四季』 森のアロマ編

自然豊かなビオトピアの森で生まれた精油

ビオトピアは、はるか昔の地殻変動でできた「こゆるぎ丘陵」にあります。「こゆるぎ」は古くは相模国の郡名の「淘綾(ゆるぎ)」が由来で、「大地がゆり上げられたところ」を意味しているそう。富士山や相模湾、足柄平野を望むことができる風光明媚な丘の上にある「ビオトピア」は、気軽に自然を楽しめるおでかけスポットです。

この土地で採れた素材だけで作られているのが、ビオトピアの森から生まれた天然由来成分100%の精油(エッセンシャルオイル。以下、「精油」とのみ表記。)です。精油は、熱や光で酸化しやすく、湿度にも弱いのですが、収穫してすぐにその場で抽出・ボトリングすることで、フレッシュな香りを閉じ込めた鮮度抜群のオイルとなっています。

 

精油(エッセンシャルオイル)とは

精油は、植物が作り出す揮発性の油で、植物が生きていく上で重要な役割を果たすものです。花や葉、樹皮や果実の皮などに蓄えられた精油の香りは、昆虫や鳥を引き寄せます。そうして受粉や種子を遠くまで運ぶのをたくします。また反対に、動物たちが嫌がる成分を分泌することで、害虫やカビから自分を守る働きをすることもあります。精油は植物が生存競争に勝つために作り出すもので、子孫を残すため、害虫から身を守るため、はたまた病気の予防や温度調節のためなど、さまざまな役割を担っているのです。

人間は、古くから色々な方法でこの精油を抽出して利用してきました。世界中の農家でさまざまな植物が精油を抽出するために栽培されています。数滴を抽出するために、何キロという量の植物を使うことも珍しくありません。たとえば、ハーブを生のままハーブティーとして楽しむのなら、ティーポットに入る分量があれば十分ですよね。それに比べて、おおよそ5kgのハーブから抽出できる精油の量は、20~60mlほどです。植物の成分が凝縮された精油の原液は、とても刺激が強いので、必ずユーカリ油などの植物油で希釈して使う必要があります。また、バラの精油のように大量の花びらからわずかしか抽出できないものは、かなり高額になります。

精油は、アロマテラピーで利用されるほか、食品や医療、美容などさまざまな分野で、香料などとして利用されています。

 

水蒸気蒸留法で精油を抽出

かんきつ系の果皮を絞って抽出する「圧搾法」や、溶剤に植物を浸す「溶剤抽出法」など、精油はさまざまな方法で抽出されます。なかでも最もポピュラーなのが、原料となる植物に水蒸気をあてて抽出する水蒸気蒸留法です。水蒸気は植物の分泌腺を破裂させ、植物に含まれる揮発成分は蒸気とともに蒸発します。この蒸気が冷却水で冷やされると、液体に戻り、精油(エッセンシャルオイル)と芳香蒸留水(フローラルウォーター)となって抽出されます。ビオトピアでは、この水蒸気蒸留法で敷地内の植物から精油を抽出しています。

 

 

ビオトピアのハーブガーデンでカモミールの花摘み

カモミール(chamolile)はギリシア語(kamai melon)で「大地のりんご」という意味。小さな白い花びらに触れると、さわやかな甘いりんごの香りが広がります。

ビオトピアのハーブガーデンで育てられているジャーマン・カモミールは無農薬栽培です。収穫もすべて手作業なので、この時期はみんなでお花摘みのお手伝い。一生懸命みんなで収穫しても、抽出できる精油の量はほんのわずかです。そんな貴重な精油を使って、春の森林セラピーでは、バスボム作りのワークショップを行いました。甘い香りが広がるお花畑で、フレッシュなカモミールの花を自分で摘み取ってパックしたハーバルバス作りも。ティータイムには、自分で摘んだカモミールでリフレッシュする、カモミールづくしのワークショップでした。

ジャーマン・カモミールの精油は、摘み取った花から抽出されますが、意外にも、白い花からは想像できないような鮮やかなブルーの精油が抽出されるから驚きです。これは抽出の際に生じるカマズレンという成分によるもの。このように、精油には抽出によって現れる、もともとの植物の成分とは違った特性を持つものもあります。

 

1本ずつナンバリング 貴重なオイル「オニユズヌーボー」

ビオトピアの森で採れる森の恵みの中でも、ひときわ貴重なのは、1年に1度しか収穫できないオニユズを使った精油です。ニッキや月桂樹など、葉や枝から抽出する精油と違い、オニユズの精油は果皮から抽出するので、果実の収穫の時期にしか採れないからです。毎年12月初旬に、採れたてのオニユズの果皮から抽出したオイルをすぐに瓶詰めして、1本1本ナンバリングして販売しています。

ひとつひとつ手でもいだオニユズの皮をむいて、果皮だけを水蒸気蒸留法で抽出します。コンテナ4個分のオニユズから抽出できる精油は40~45mlほど。オニユズの香りはとても酸化しやすく、匂いがすぐに変わってしまいます。熟成して変化した香りも悪くないですが、オニユズのフレッシュな香りが楽しめるのは、採れたてのこの時期だけ。量産できないため、例年1月には完売してしまう人気の精油です。

 

ハーブ栽培からボトリングまで

「アロマ」と名の付く、さまざまな品質の香料が小瓶で売られていますが、ポプリ用の合成香料などもあり、天然の精油と間違えないように注意が必要です。植物の生体内で作られた天然の揮発性物質だけが精油と呼べるのです。

アロマテラピーの人気が高まり、海外から、さまざまな精油が輸入されていますが、国産の原料を使って作られ、国内で抽出される精油はとても貴重なもの。マルシェで買える、ビオトピアの森から生まれた精油「Aroma Oil」シリーズは全6種類。オニユズ、ヒノキ、ニッキ、ローリエ、レモングラス、和ハッカというラインナップ。神奈川県大井町産の植物を100%使用して、すべて手作業で抽出されています。栽培からボトリング、販売までビオトピア敷地内で行われるので、生産者の目が行き届いた手作りの精油となっています。

 

そして忘れてはいけないのが、精油は新鮮なうちに使い切るのが望ましい、ということ。ついつい色々なオイルをコレクションして取っておきたくなってしまいますが、使う時に必要な量の精油を用意するのが正解です。ぜひ作りたてのフレッシュな精油の香りを嗅いでみてください。安価に出回っているものとの違いがわかるはずです。

質の良い精油は、自然の恵みです。植物の生育は気候や土地の地質、降雨量など環境によって左右され、それが精油の品質にも影響するからです。この貴重な精油を生み出してくれるビオトピアの森にも足を運んでみませんか?豊かな自然の中に身を置いて、五感で感じてみてください。